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2026.04.16
薬品沈澱池の耐震解析(L2対応)
はじめに
水処理施設の耐震設計において、薬品沈澱池は「池内に液体を保有する構造物」という特殊性から、一般的な建築・土木構造物とは異なる荷重の考え方が必要です。
本記事では、RC造薬品沈澱池を対象に実施した L2地震動対応の耐震解析および配筋設計の事例を紹介します。荷重の設定から断面力算定・配筋決定まで、設計プロセスを一貫して担当した案件です。
案件の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象構造物 | 薬品沈澱池(RC構造) |
| 解析レベル | L1地震時・L2地震時(両対応) |
| 荷重ケース | 常時・満水時・空水時・地震時 |
| 基礎形式 | 杭基礎(杭バネ設定あり) |
| 対応範囲 | 荷重設定〜耐震解析〜配筋設計 一体 |
① L2地震動に対する詳細検討
L2地震動は、施設の倒壊防止・機能維持に直結する「最大規模の設計地震」です。本案件では、水構造物特有の以下の荷重をすべて考慮しました。
考慮した荷重
地震時慣性力構造物本体の自重に起因する水平慣性力。構造物の質量分布を踏まえて算定します。
地震時土圧(修正物部・岡部法)地震時に側面に作用する土圧は、静止土圧とは大きく異なります。修正物部・岡部法を用い、地震係数と土質定数から精度よく算定しました。
地震時動水圧(Westergaard法)池内の水が地震時に構造物に与える動的な圧力です。Westergaard(ウエスタガード)法を用いて算定し、静水圧と合わせて評価しました。
ポイント: 動水圧の考慮を省略すると、地震時の壁面・底版への荷重を過小評価するリスクがあります。水構造物の耐震設計では必須の検討項目です。
② 荷重組合せの最適化
本案件では、以下の荷重ケースを組み合わせて網羅的に照査しました。
【検討ケース一覧】 常時 ├─ 満水時 └─ 空水時 L1地震時 ├─ 満水時 └─ 空水時 L2地震時(2ケースで照査) ├─ 満水時(Case A) └─ 空水時(Case B)
満水時と空水時では、池に作用する内水圧の有無により、底版・壁面の断面力の方向・大きさが大きく変化します。両条件を照査することで、あらゆる運用状態における安全性を確認しています。
L2地震時については安全側設計の観点から2ケースで照査を行いました。
③ 杭基礎を含めた実構造モデル
地盤条件・基礎形式を正確に反映した解析モデルを構築しました。
杭バネの方向別設定: 水平バネ(kh)・鉛直バネ(kv)をそれぞれ個別に算定し設定
ブロックごとの剛性反映: 構造物の剛性分布をブロック単位でモデル化
実構造に即した解析: 理想化・簡略化に依存しない、実態に近いモデルを採用
これにより、地盤〜基礎〜上部構造の荷重伝達を一連のモデルで評価できます。
④ 配筋設計まで一体対応
解析結果を途切れなく設計に反映する「一貫フロー」を実現しました。
荷重設定 ↓ 荷重組合せ ↓ 耐震解析(FEM) ↓ 断面力算定(M・Q・N) ↓ 配筋量の決定
解析担当と設計担当が分断されると、情報の受け渡し時にミスや不整合が生じるリスクがあります。本案件では一体対応により、解析結果をそのまま設計に反映し、整合性の高い成果物を提供しました。
技術ポイント:水処理施設の耐震設計の要点3つ
薬品沈澱池などの水処理施設の耐震設計では、以下の3点が特に重要です。
1. L2地震動への対応
L2地震動は想定される最大規模の地震であり、施設の倒壊防止を確保するための設計基準となります。水処理施設は社会インフラとして災害後も機能継続が求められるため、L2対応は不可欠です。
2. 動水圧の考慮
静水圧に加え、地震時に生じる動水圧(Westergaard法)を正確に評価することで、壁面・底版の設計断面力が大きく変わります。省略した場合、耐震性能を過大評価するリスクがあります。
3. 満水・空水の両条件照査
池の運用状態によって、内水圧の有無が構造物の断面力に与える影響は甚大です。最悪ケースを見落とさないために、満水・空水の両条件での照査が標準的な対応となります。
当社の強み
解析〜設計 一体対応荷重設定から配筋決定まで、一社で完結します。窓口を一本化することで、スムーズなコミュニケーションと確実なスケジュール管理を実現します。
L2非線形レベルへの対応線形弾性解析にとどまらず、L2地震動に対応した非線形解析にも対応しています。より実態に即した構造挙動の評価が可能です。
チェック体制による品質確保複数のエンジニアによる相互チェック体制を整備し、計算ミス・見落としを防止します。納品物の品質に責任を持って対応します。
まとめ
本案件では、薬品沈澱池(RC構造)を対象に、L2地震動を考慮した耐震解析から配筋設計まで一体的に対応しました。
水処理施設の耐震設計においては、動水圧・地震時土圧・満水/空水条件という3要素を漏れなく考慮することが、安全で合理的な設計の前提条件となります。
当社では、こうした専門性の高い案件に対して、技術力と一貫したサービス体制でサポートしています。
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